2013年03月09日

四角形を等しい面積の三角形に

古代のエジプトやバビロニアでは、毎年河川が氾濫を起こしました。
すると、河の流れや地形が変わってしまうこともあります。
ある年、エジプトのナイル河の氾濫の後、河川の流れが変わり、隣接する耕地(畑)だった場所に流れが入り込んでしまいました。下の図を参照。

等積変形.jpg

そこで、もとの四角形の耕地と同じ面積の三角形の耕地にしなければなばらなくなりました。
どのようにすればいいでしょうか。できるだけ、元の場所を活用することが条件です。
古代エジプトの人びとは、こういう場合に、どうすれば元の耕地=図形と同じ面積の別の図形をつくる方法を知っていたようです。

変形.jpg

彼らは、上の図のようにして四角形と同じ面積の三角形をつくりました。
まず、辺BCを延ばします。
次に、四角形ABCDの対角線ACと平行な直線(線分)EFを、点Dを通って、辺BCの延長線に達するように引きます。
それから、点Aと点Fとを結ぶ線分を引きます。
すると、四角形ABCDと同じ面積の三角形ABFができ上がります。
では、なぜ、四角形ABCDと三角形ABFの面積が等しくなるのでしょうか。

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ポイントは平行線の性質です。
三角形ACDと三角形ACFの面積が等しくなるからです。
この2つの三角形では、底辺ACは共通です。しかも、EF//ACということで、高さも同じですから、《底辺×高さ÷2》で求める数値が同じということになります。
四角形ABCDの面積=三角形ABCの面積+三角形ACDの面積
三角形ABFの面積=三角形ABCの面積+三角形ACFの面積
ここで、三角形ACDの面積=三角形ACFの面積ですから、
四角形ABCD=三角形ABF となります。QED(以上で証明がなされました)

等積三角形.jpg

問題を単純化しましょう。
上の図で、DE//BCです。
2本の平行線では、そのあいだの距離は常に等しいわけですから、3つの三角形ABC、DBC、EBCの高さは同じということになります。
そして、底辺BCは共通ですから、この3つの三角形はすべて同じ面積です。 つまり、2つの平行線で、底辺が共通の三角形で、頂点が他方の線上にあるものは、すべて等しい面積となるのです。
ある図形と等しい面積の別の図形を作成することを「等積変形」と呼びます。

posted by 田舎おやじ at 10:07| Comment(0) | 図形と幾何学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月07日

図形の面積を考える

人類はそうとう古い古代から、図形や幾何学について考え抜き、さまざまな法則や定理・公理を発見してきました。
とりわけ明白な記録や証拠が残されているのは、古代エジプトとメソポタミア(バビロニア)です。

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おそらく、ともに毎年氾濫を繰り返す大河が流れているためだと考えられています。
というのは、毎年春から夏にかけて、エジプトではナイル河が、メソポタミアではティグリス河とユウフラテス河が、膨大な雪解け水のために洪水を起こしました。
ティグリスと言うのは、ギリシア語で「トラのように獰猛なもの」という意味だそうです。たぶん、その河は氾濫するときには、ものすごく猛威をふるったからでしょう。
さて、河は水の供給源ですから、流域には畑・耕作地が広がっていました。毎年の氾濫は、上流から肥沃な土砂を運んでくれたので、この両地帯は肥沃な農地だったわけです。

ところが、河が氾濫すると、河の流れ筋が変わってしまったり、土地が変形したり、畑の境界線が消え去ってしまいます。
そうすると、農民たちに以前と同じ形状や面積の耕地を復元してやらないと、争いのもとになってしまいます。
同じ形の畑を復元しなければなりせん。もし地形が変わってしまってそれが無理なら、同じ面積の耕地を公平に分け与えなければなりません。
そのために、図形の性質を検討して幾何学が発達し、面積を求める方法、そして形を変えて同じ面積にする方法(等積変形)や数学が発達したのでしょう。
さらに、幾何学や数学は、のちのピュラミッド建設や都市の大型建物の建設のために、役立てられ、さらに発展していったことでしょう。

ところで、図形の面積とは何でしょうか
平面で見た場合の「広がりの大きさ」ということらしいのですが、実は、数学上の明確な定義はないようです。
強いて言えば、図形のなか(表面)に「正方形がいくつ入るか」ということでしょう。この場合の「正方形」とは理論上の想定として、という意味です。
面積の単位は、人類の実生活では「u」とか「p2」というように表記されます。
これは、1辺が1メートルあるいは1センチメートルの正方形が、いくつ分あるかという意味です。
しかし、円や三角形など、正方形ではきっちり収まりきれない図形はどうするのか、という疑問がわきます。
この場合には、正方形を斜めに切って三角形に分解したり、無数の小さな正方形に分解して、近似値を求めるということになります。
理屈の上で、無数の無限に微小な正方形に分解して、それを寄せ集めて集計・集積するという考え方は、「微分・積分」の方法です。
ということは、考え方としての微分積分は、古代の幾何学の誕生とともに生まれていたわけです。

posted by 田舎おやじ at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 図形と幾何学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

命題の真偽を考える

前回、命題の真偽を判断する練習として、以下のような課題を出しました。
@ 正方形は台形である。
A 平行四辺形は台形である。
B 平行四辺形はひし形である。
C 酸素は水よりも軽い。
D 対角線が直交する平行四辺形は、正方形である。
E 対角線が直交する長方形は、正方形である。
F 2つの内角が直角である台形は、長方形である。
G 台形のうち、向かい合う内角が等しく、対角線が直交するものは、長方形である。

命題の真偽判断にさいしての考え方を見ながら、解説します。
@について  命題は真です。
正方形とは、向かい合う2組の辺がそれぞれ平行で、しかも4つの内角がすべて直角な四角形(長方形)で、すべての辺の長さが等しいものです。
台形とは、向かい合う1組の辺が平行な四角形です。
ということは、正方形(長方形)は対向する2組の辺がそれぞれ平行ですから、台形に含まれます。
つまり、台形という四角形の集合のなかに正方形の集合は包含されます。正方形 ⊂ 台形 ということで、命題は真となります。
なお、集合として四角形を考えると、正方形 ⊂ 長方形 ⊂ 平行四辺形 ⊂ 台形 ⊂ 四角形 という関係です。

Aについて  上の考え方から、真です。

Bについて  命題は偽です。

四角形.jpg

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上の図は、四角形を台形にし、台形を平行四辺形にし、平行四辺形をひし形あるいは長方形にするために、それぞれつけ加える属性を示しています。正方形は、ひし形と長方形の属性に両方を備えたものとなります。

Cの命題は偽です。
100℃を超えた水は気体となって、酸素よりも重くなります。また、酸素(分子)は気体の状態では水よりもはるかに軽いですが、-160℃くらいに冷やして液体にすると、水よりも重くなります。
というわけで、酸素がいつも水よりも重いとは限りません。
高校の科学の初歩で学ぶことに分子量があります。化学式では、水は H2O という化学式、酸素分子は O2 です。
水素の原子量は「1」、酸素は「16」ですから、水の分子量は、1×2+16=18 となり、酸素分子は 16×2=32 です。気体とか液体とか同じ状態では、酸素の方が重いのです。

Dの命題は偽です。
2つの対角線が直交する四角形には、正方形だけでなく、ひし形もあるからです。正方形は、ひし形のうち、特殊な集合なのです。

Eの命題は真です。
長方形のうち、ひし形の属性をも同時に備えたものが正方形なのです。

Fの命題は偽です。
隣り合う2内角が直角な台形は、長方形になりません。向かい合う1組の内角を直角にすれば、長方形になるのです。

Gの命題は偽です。
台形のうち、向かい合う内角が等しく、対角線が直交するものは、ひし形です。内対角が等しく直角ならば、長方形となります。

posted by 田舎おやじ at 09:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ことばで学ぶ数学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月14日

正の数と負の数

前回の記事「数直線とものさし」では、負の数が登場しました。
そこでは、通常の数の増加とは逆の方向、つまり減少の方向への進み方を示す記号=符号として「マイナス:−」を使うのだ、という規則を説明しました。
そこで数の表記方法ですが、プラスの数には「+5」というようにプラス符号をつけないで、ただ「5」というように表記することにします。したがって、マイナスがついていない数は、プラスの世界の数だと考えてください。

数直線.jpg

上の図で、0から増加する方向を「+(プラスの世界)」として、反対に0から減少する方向を「−(マイナスの世界)」と呼ぶことにしましょう。もともと、ラテン語でプラスは増加(大きなもの)を、マイナスは減少(小さなもの)を意味する言葉でした。
こういう風に考えると、負の数は実在する数なのです。
すなわち、「反対方向を意味する数」なのです。

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反対向きのものさし.jpg

ここで、マイナスを使った計算、引き算の意味を考えてみましょう。
たとえば、6−3=3 という計算です。2つのものさしを反対向きに置いた上の図を参考にしましょう。
この引き算の意味は、「6マイナス3」で、6という数をまず基準にして、そこから減少の方向に3動いたところの数を指し示すということになります。
そこで、この計算は、6+(−3)という風にも表すことができます。これは、6に対して、−3という数を加える、あるいは、増加の方向にマイナス3動かすということです。
こうしてみると、これまで単純に加減の計算の符号だと考えてきた+や−は、数直線上での動きの方向とか位置関係を表す符号になるわけです。そして、マイナスは「反対方向の意味」を表します。

すると、たとえば「−1000円の利益」は「1000円の損失」になり、「北へ−20メートル」は「南へ20メートル」、「上に−54センチメートル」は「下に54センチメートル」という意味になるのです。

posted by 田舎おやじ at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 数の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月11日

数直線とものさし

「数の世界」の仕組みを考えてみるために、数を表したり調べたりする道具としての「ものさし」を見てみましょう。

ものさし.jpg

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だいたい、こんな風になっているでしょうか。
ここでは、ものさしの目盛についている数はセンチメートル単位とします。で、1センチメートル間隔のなかにつけられている小さな目盛を1ミリメートル刻みとします。
すると、このものさしは、1ミリメートル刻みで物の長さや間隔を測れることになりますね。

ところが、1ミリメートルの目盛のあいだをレンズで見てみると、その刻みのあいだにも、目盛をきざめそうな間隔というか空間があることがはっきりわかります。
ということは、このものさしを電子顕微鏡で見るくらいに拡大してみると、そのあいだには、ものすごくたくさんの目盛を刻むことができるほどの空間があることがわかります。もちろん、人間の手では無理ですが。

そうすると、「1、2、3・・・」というセンチメートル単位の整数の値は、ものさしを製造した人間(会社)が、そういう風に目盛をふろうと企画してやったことで、数そのものは、たとえば1と2とのあいだに無数にあることになりますね。
つまり、長さを示す数というものは無限・無数にあるわけで、商品=「ものさし」としてどういう目盛をつけるかは、つくる人間の側の選択にすぎない、ということがわかります。現実には無限の数が隙間なく連続しているのです。

そのような数の世界を表す図として「数直線」というイメージがあります。

数直線.jpg

上の図が「数直線」です。ここには「−8」という目盛がふられています。
「0」を基準にして、ものさしの1,2,3、・・・という数の増え方、進み方と反対方向への数の歩みを「−:マイナス」という記号を頭につけて、小さい方に向けて目盛をつけると、自然数の「8」のちょうど反対側に「−8」という数が来ます。
数の世界には「マイナスの数の世界」があるのです。「0」を境にして、鏡のように正反対の数の歩み、進み方をする世界です。
「そんな数は実際にはないじゃないか」という意見もあるでしょう。
でも、さきほどの「ものさし(透明とします)」を裏返しにして、「0」の反対側につけ足せば、「ものさしとしては「マイナスの数の世界」がイメージできます。
つまり、意味や仕組みが「正反対の方向の数の仕組み」というわけです。

posted by 田舎おやじ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 数の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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