2013年02月14日

正の数と負の数

前回の記事「数直線とものさし」では、負の数が登場しました。
そこでは、通常の数の増加とは逆の方向、つまり減少の方向への進み方を示す記号=符号として「マイナス:−」を使うのだ、という規則を説明しました。
そこで数の表記方法ですが、プラスの数には「+5」というようにプラス符号をつけないで、ただ「5」というように表記することにします。したがって、マイナスがついていない数は、プラスの世界の数だと考えてください。

数直線.jpg

上の図で、0から増加する方向を「+(プラスの世界)」として、反対に0から減少する方向を「−(マイナスの世界)」と呼ぶことにしましょう。もともと、ラテン語でプラスは増加(大きなもの)を、マイナスは減少(小さなもの)を意味する言葉でした。
こういう風に考えると、負の数は実在する数なのです。
すなわち、「反対方向を意味する数」なのです。

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反対向きのものさし.jpg

ここで、マイナスを使った計算、引き算の意味を考えてみましょう。
たとえば、6−3=3 という計算です。2つのものさしを反対向きに置いた上の図を参考にしましょう。
この引き算の意味は、「6マイナス3」で、6という数をまず基準にして、そこから減少の方向に3動いたところの数を指し示すということになります。
そこで、この計算は、6+(−3)という風にも表すことができます。これは、6に対して、−3という数を加える、あるいは、増加の方向にマイナス3動かすということです。
こうしてみると、これまで単純に加減の計算の符号だと考えてきた+や−は、数直線上での動きの方向とか位置関係を表す符号になるわけです。そして、マイナスは「反対方向の意味」を表します。

すると、たとえば「−1000円の利益」は「1000円の損失」になり、「北へ−20メートル」は「南へ20メートル」、「上に−54センチメートル」は「下に54センチメートル」という意味になるのです。

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2013年02月11日

数直線とものさし

「数の世界」の仕組みを考えてみるために、数を表したり調べたりする道具としての「ものさし」を見てみましょう。

ものさし.jpg

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だいたい、こんな風になっているでしょうか。
ここでは、ものさしの目盛についている数はセンチメートル単位とします。で、1センチメートル間隔のなかにつけられている小さな目盛を1ミリメートル刻みとします。
すると、このものさしは、1ミリメートル刻みで物の長さや間隔を測れることになりますね。

ところが、1ミリメートルの目盛のあいだをレンズで見てみると、その刻みのあいだにも、目盛をきざめそうな間隔というか空間があることがはっきりわかります。
ということは、このものさしを電子顕微鏡で見るくらいに拡大してみると、そのあいだには、ものすごくたくさんの目盛を刻むことができるほどの空間があることがわかります。もちろん、人間の手では無理ですが。

そうすると、「1、2、3・・・」というセンチメートル単位の整数の値は、ものさしを製造した人間(会社)が、そういう風に目盛をふろうと企画してやったことで、数そのものは、たとえば1と2とのあいだに無数にあることになりますね。
つまり、長さを示す数というものは無限・無数にあるわけで、商品=「ものさし」としてどういう目盛をつけるかは、つくる人間の側の選択にすぎない、ということがわかります。現実には無限の数が隙間なく連続しているのです。

そのような数の世界を表す図として「数直線」というイメージがあります。

数直線.jpg

上の図が「数直線」です。ここには「−8」という目盛がふられています。
「0」を基準にして、ものさしの1,2,3、・・・という数の増え方、進み方と反対方向への数の歩みを「−:マイナス」という記号を頭につけて、小さい方に向けて目盛をつけると、自然数の「8」のちょうど反対側に「−8」という数が来ます。
数の世界には「マイナスの数の世界」があるのです。「0」を境にして、鏡のように正反対の数の歩み、進み方をする世界です。
「そんな数は実際にはないじゃないか」という意見もあるでしょう。
でも、さきほどの「ものさし(透明とします)」を裏返しにして、「0」の反対側につけ足せば、「ものさしとしては「マイナスの数の世界」がイメージできます。
つまり、意味や仕組みが「正反対の方向の数の仕組み」というわけです。

posted by 田舎おやじ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 数の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月09日

円という図形の意味をさぐる

今回は幾何学、つまり図形に関する数学の入口に立ってみましょう。
ところで、幾何学は英語でgeometryです。もともとはギリシア語で、ゲオは大地や地面、メトルは計測する、測量するとか韻律を調べるという意味があるそうです。だから、測地学というわけで、もともとは耕地とか建物の敷地などの形状や面積を調べる技法から始まったといわれています。

そのせいか、机の上で図形を見ているよりも、屋外(庭)に出て、地面に図形を描いてみたり、物の形や運動の様子を調べて見る方が、数学や物理学として図形を学ぶための役に立つことも多いのです。
こういう話の始め方には、無理があるでしょうかねえ。無理やり話を戸外や庭にもっていこうとしているみたいで。

円を描く

今回は《円という図形》の話です。
まず円を描いてみましょう。机の上のノートや画用紙になら、コンパスを使えば簡単に円が描けますね。
しかし、それでは「円」という図形の意味はあまりわかりません。
もちろん、コンパスは円の中心と半径を決めて回すと円が描けるのですから、ある中心点から等しい距離にある点の集合、または軌跡(動いた痕跡)だということはわかりますが。
では、庭に出て直径4メートルくらいの円を描くときはどうしますか。
短い棒が2本と紐が1本あれば、円を描けますね。
2本の棒にそれぞれ紐の端を縛りつけて、一方の棒を中心にして、片方の棒で地面に跡が残るように回せばいいのです。このとき、紐はぴんと張っていなければなりません。少しでも緩むと、円が正確に描けません。

circle.png

地面に跡を残さなくてもいいとすると、紐の端に何か重りになるものを結びつけて、それを外側にして空中を飛ぶように回せば、重りは円の形の軌道を描いて回転することになります。これも円です。
これは自分の身体や目を使う大事な経験です。円がどういうものかを知るためには。

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運動または力学としての円

この2つの場合は、何かの運動の結果として地面の上や空中に、軌跡や軌道として円が描かれました。
このことを少し考えてみましょう。
いずれの場合も、中心になる棒や手がぴんと張った紐を引っ張り続けていたのです。そして外側の棒や重りは、紐が緩むことがないように外側に向かって動こうとしていました。
とくに重りの場合には、つねに外に外に飛び出そうとしていて、その力は紐をつうじて手にかかってきます。
もし、紐が切れたり、手を離したりすれば、重りは円の外側に遠く飛び去っていくでしょう。

ということは、円という軌跡は、中心に向かって引き落とそう(引っ張る)力と、外側に飛び去っていこうとする力が合成されて、均衡しているときにできる形なのですね。
地球や木星など、太陽系の天体=惑星たちは、中心の太陽の巨大な重力を受けて円(正確には楕円)運動をしています。太陽の周囲を公転しているのです。
もし太陽の重力が大きすぎれば、惑星は螺旋を描きながら太陽に向かって落ち込んでいくでしょう。
運動の軌跡としての円という図形は、落下させようとする力と飛び離れようとする力の合成が生み出す運動の軌跡=軌道なのです。

posted by 田舎おやじ at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 図形と幾何学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月08日

1+1=2 になる場合は?

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前回、数や数量の数え方、測り方にはいろいろな考え方があると述べました。
ということは、数や量というものは、人間の勝手に考えだした「主観」なのでしょうか。
しかし、一方で、言葉としての数、記号としての数字は、人間の脳の作用(精神・意識)が自分や外界を写し取ってきたものだとも述べました。
つまり、言葉や数、数字は世界の反映、映し鏡だということです。

何やら混乱するかもしれませんが、要するに、世界が人間の脳作用=主観という鏡の側に写し取られ、変形されているわけです。
しかも、人間は自分の精神世界すら言葉や観念に置き換え、写し取って推論し、思考するのです。
そして、人間個人や集団の価値観や思惑、要するに世界観がこの反映には影響するので、鏡に映った像は、ひっくり返ったり歪んだりすることもあるわけです。つまり、バイアスやフィルターがかっかているのです。

それでも、人類が文化や文明をもってから1万年近く、この地上でさまざまな環境変化に適応して生存し続けてきたということは、言葉や数による世界の写し取りや認識がそれほど間違ってはいなかったということでしょうか。
もちろん、科学・工業文明がある一面だけ発達しすぎた感もありますので、これから先のことはわかりませんが。

1+1=2 はいつも成り立つわけではない!

前置きが長くなりました。
今日の話題は、《1+1=2》という数学の計数の出発点にあるはずの「常識」がじつは、この世界の出来事や仕組みのなかでは、きわめて限られた特殊な場合にすぎないということです。
数や数量の世界、数学の世界、力学の世界で、単純に1+1=2になるのは、ある価値観や法則=約束事が通用している限りでのことなのです。その約束事の世界にとどまる限りで、単純な計算は可能なのです。

rapple.02s.png

たとえば、上の図のリンゴ。それぞれに1個と見なすことができます。それで、たとえば、一番左のリンゴと真ん中のリンゴを合計すれば、1+1=2個となります。
でも、この2つのリンゴは色も形・大きさも違います。たぶん味も違うでしょう。重さも違うでしょう。
つまり、性質や品質、属性が違うものです。
そういうことがらを一切無視して、それぞれ独立の単体として1個と見なすという約束事のうえで、この単純な足し算は成り立っているのです。
だから、「私は重さや味なども考慮に入れたい」ということになれば、この約束事とともに「1+1=2」という原理もたやすく崩れ去ってしまいます。

このほかにも、1+1=2にならない場合があります。
たとえば、物理学の「力の合成」、ヴェクトルの問題です。

力の合成.png

上の図のような90°の角度で互いに作用する力の和は、対角線の長さに相当する力となります。三平方の定理や三角関数を学んである人なら、「ああ、√_の大きさになるな」とすぐにわかるでしょう。《12+12=2》の平方根です。
ここでは1+1=2 にはなりません。

このほかにも、粒子とか分子の大きさが異なる液体や穀物の容積の合計も、やはり1+1=2 にはなりません。
たとえば、水とアルコールとをそれぞれ1リットルずつ同じ容器に入れてよくかき混ぜると、2リットルにはなりません。豆と米でも同じです。
小さな粒子・分子が大きな分子の隙間に入り込んだりして、容積は2リットルよりも小さくなります(下の図のように)。

粒子.png

ところが、重さならば、水1キログラムとアルコール1キログラムの合計は2キログラムとなるのです。ただし、同じ1つの重力系のなかにおいてという限定つきですが。
このように、ある特殊な側面(次元)だけに限って思考=計測すれば、1+1=2 が成り立つのです。

posted by 田舎おやじ at 09:08| Comment(0) | 数の世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月07日

命題の真偽と集合

前回述べたように、主語と述語からなる文は、論理学でいう命題ということになります。そして、主語が仮定で、述語が結論という役割になっているということでした。
ここでは、主語をP、述語をQというふうにしておきます。
「PはQである」という文は、「PならばQとなる」という論理の構造になるのです。略して「P→Q」と表記することにします。
それで、論理学=数学的には、こういう文=命題について真か偽かを判断することができるということでした。

そして、この真偽判断にさいしては集合の考え方を尺度にしているわけでした。
集合関係としては、P⊆Q、つまり集合Pが集合Qとイコールか完全に含まれているという関係にあるときに、命題P→Qは真となること、そのほか、つまりP⊃Qの場合には偽となるのです。

集合の包含関係.jpg

このような集合の包含関係は、私たち人類の経験や観測、推論や思考から組み立てられたものです。
したがって、言葉の定義の仕方によっては、ひっくり返ることもないわけではありません。

では、この考え方を使って以下の命題について、真偽を判断してみましょう。図形については、机の上のような平面の世界、つまりユークリッド空間でのこととします。

@ クジラは哺乳動物である。
A カブトムシは節足動物である。
B 昆虫はカブトムシである。
C 熱帯地方の方が、北極圏よりも昼間の時間は長い。
D 4辺の長さが等しい四角形は、正方形である。
E 正三角形は二等辺差角形である。
F 鉄は水に浮くことはない。

《正解》
@ 真。クジラは哺乳動物のなかの1つの種です。
A 真。カブトムシは昆虫で、節足動物のなかの1つの目(類)です。
B 偽。昆虫にはいろいろあって、カブトムシとは限りません。
C 偽。北極圏や高緯度地帯では、夏になると昼間が極端に長くなり、日没がなく夜がない白夜もあります。ただし「冬には」という季節の限定をすると、「真」になるのです。
D 偽。4辺の長さが等しい四角形はひし形で、そのうち4内角が等しい(直角)という特殊な集合が正方形となります。
E 真。二等辺三角形のうち、3辺(3内角)が等しい特殊な集合が正三角形。
F 偽。鉄でも船のような形にして体積を大きくして、重量よりも浮力が大きくなるようにすれば、水に浮きます。

では、次回までの課題を出しておきます。考えてみてください。
《課題》
@ 正方形は台形である。
A 平行四辺形は台形である。
B 平行四辺形はひし形である。
C 酸素は水よりも軽い。
D 対角線が直交する平行四辺形は、正方形である。
E 対角線が直交する長方形は、正方形である。
F 2つの内角が直角である台形は、長方形である。
G 台形のうち、向かい合う内角が等しく、対角線が直交するものは、長方形である。

posted by 田舎おやじ at 13:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ことばで学ぶ数学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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