今回は幾何学、つまり図形に関する数学の入口に立ってみましょう。
ところで、幾何学は英語でgeometryです。もともとはギリシア語で、ゲオは大地や地面、メトルは計測する、測量するとか韻律を調べるという意味があるそうです。だから、測地学というわけで、もともとは耕地とか建物の敷地などの形状や面積を調べる技法から始まったといわれています。
そのせいか、机の上で図形を見ているよりも、屋外(庭)に出て、地面に図形を描いてみたり、物の形や運動の様子を調べて見る方が、数学や物理学として図形を学ぶための役に立つことも多いのです。
こういう話の始め方には、無理があるでしょうかねえ。無理やり話を戸外や庭にもっていこうとしているみたいで。
円を描く
今回は《円という図形》の話です。
まず円を描いてみましょう。机の上のノートや画用紙になら、コンパスを使えば簡単に円が描けますね。
しかし、それでは「円」という図形の意味はあまりわかりません。
もちろん、コンパスは円の中心と半径を決めて回すと円が描けるのですから、ある中心点から等しい距離にある点の集合、または軌跡(動いた痕跡)だということはわかりますが。
では、庭に出て直径4メートルくらいの円を描くときはどうしますか。
短い棒が2本と紐が1本あれば、円を描けますね。
2本の棒にそれぞれ紐の端を縛りつけて、一方の棒を中心にして、片方の棒で地面に跡が残るように回せばいいのです。このとき、紐はぴんと張っていなければなりません。少しでも緩むと、円が正確に描けません。
地面に跡を残さなくてもいいとすると、紐の端に何か重りになるものを結びつけて、それを外側にして空中を飛ぶように回せば、重りは円の形の軌道を描いて回転することになります。これも円です。
これは自分の身体や目を使う大事な経験です。円がどういうものかを知るためには。
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運動または力学としての円
この2つの場合は、何かの運動の結果として地面の上や空中に、軌跡や軌道として円が描かれました。
このことを少し考えてみましょう。
いずれの場合も、中心になる棒や手がぴんと張った紐を引っ張り続けていたのです。そして外側の棒や重りは、紐が緩むことがないように外側に向かって動こうとしていました。
とくに重りの場合には、つねに外に外に飛び出そうとしていて、その力は紐をつうじて手にかかってきます。
もし、紐が切れたり、手を離したりすれば、重りは円の外側に遠く飛び去っていくでしょう。
ということは、円という軌跡は、中心に向かって引き落とそう(引っ張る)力と、外側に飛び去っていこうとする力が合成されて、均衡しているときにできる形なのですね。
地球や木星など、太陽系の天体=惑星たちは、中心の太陽の巨大な重力を受けて円(正確には楕円)運動をしています。太陽の周囲を公転しているのです。
もし太陽の重力が大きすぎれば、惑星は螺旋を描きながら太陽に向かって落ち込んでいくでしょう。
運動の軌跡としての円という図形は、落下させようとする力と飛び離れようとする力の合成が生み出す運動の軌跡=軌道なのです。