古代のエジプトやバビロニアでは、毎年河川が氾濫を起こしました。
すると、河の流れや地形が変わってしまうこともあります。
ある年、エジプトのナイル河の氾濫の後、河川の流れが変わり、隣接する耕地(畑)だった場所に流れが入り込んでしまいました。下の図を参照。
そこで、もとの四角形の耕地と同じ面積の三角形の耕地にしなければなばらなくなりました。
どのようにすればいいでしょうか。できるだけ、元の場所を活用することが条件です。
古代エジプトの人びとは、こういう場合に、どうすれば元の耕地=図形と同じ面積の別の図形をつくる方法を知っていたようです。
彼らは、上の図のようにして四角形と同じ面積の三角形をつくりました。
まず、辺BCを延ばします。
次に、四角形ABCDの対角線ACと平行な直線(線分)EFを、点Dを通って、辺BCの延長線に達するように引きます。
それから、点Aと点Fとを結ぶ線分を引きます。
すると、四角形ABCDと同じ面積の三角形ABFができ上がります。
では、なぜ、四角形ABCDと三角形ABFの面積が等しくなるのでしょうか。
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ポイントは平行線の性質です。
三角形ACDと三角形ACFの面積が等しくなるからです。
この2つの三角形では、底辺ACは共通です。しかも、EF//ACということで、高さも同じですから、《底辺×高さ÷2》で求める数値が同じということになります。
四角形ABCDの面積=三角形ABCの面積+三角形ACDの面積
三角形ABFの面積=三角形ABCの面積+三角形ACFの面積
ここで、三角形ACDの面積=三角形ACFの面積ですから、
四角形ABCD=三角形ABF となります。QED(以上で証明がなされました)
問題を単純化しましょう。
上の図で、DE//BCです。
2本の平行線では、そのあいだの距離は常に等しいわけですから、3つの三角形ABC、DBC、EBCの高さは同じということになります。
そして、底辺BCは共通ですから、この3つの三角形はすべて同じ面積です。
つまり、2つの平行線で、底辺が共通の三角形で、頂点が他方の線上にあるものは、すべて等しい面積となるのです。
ある図形と等しい面積の別の図形を作成することを「等積変形」と呼びます。